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雪不足が深刻なネルソン。毎日のように天気予報をチェックしているが、週間予報はだいたいの日が【Mostly
Sunny】と書かれている、すなわち”スッゲ〜天気いいよ!”っていう意味。今の私たちには全く必要のない晴天。アメリカの北西部でも全然雪が降ってないらしく、ここホワイトウォーターでは"Washington"とか"Wyoming"とかのUSAナンバーの車を見ることが多い。この辺りではホワイトウォーターはまだ雪がある方なので、隣の国からもゲストが沢山来る有様で、BCはここ最近満員御礼状態。すでに食い散らかされた、パウダーの無い山へわざわざ登る必要もないので、ここ2,3日は諦めてゲレンデを滑っていた。
金曜日の夜、相変わらず当てにならない天気予報をチェックしていると、土曜日の夜に雪が降るというではないか!待ちに待ったパウダー!!いい予報だけは信じるのが鉄則。前回のように朝起きてみたら、家の回りが真っ白という状態を期待していたが、今回はちょっとしか降らないらしい。山の方はそれでも雪が降るとしても、パウダーを食べれるのは早い者勝ちという感じだったので、日曜は気合いを入れて早起き!スキー場に8時半前に到着し、9時からのリフトの始動をひたすら待った。
パトロールがゲレンデから降りて来るのを確認して、地元のちびっ子に混じってリフト場で並んで待機。バックパックを担いだまま、朝一番のリフトでトップまで上がった。BCの入り口で登りの用意をしていたが、後からは誰も来ない様子。しめしめ、今のうちに登ってしまえ!と気持ちは焦る。
いつものように尾根に沿って大きな岩のあるところまでハイク。そこからは例の滑落コースなので、マサトはツボ足に切り替える。今日は誰も先に山に入っていないということで、降雪と風とでツボ足の後はほぼリセットされてしまっている。そこでスノーシューの私が先に登って、ツボ足用の踏み台を作ることになった。
一見、アイスの上にパウダーが乗っていて滑落の恐怖が蘇ったが、踏んでみるとベースがカッチリ締まっていたので、キックステップを怠らなければなんとか行けそうだ。Ymirのバックボウルの入り口に到着したのが登ってから1時間半後。今までで最速ペースだ。

滑りの準備をしていると、後ろからここでバムしているニセコ在住のスキーヤー、本間さん達4人組が登ってきた。流石、おじさんチームは朝が早い。朝早い時間帯は東から上る陽がYmirの陰で隠れて、裏のバックボウルが日陰になる。日の当たらない斜面のパウダーが調子イイことを祈ってドロップした。
私が先にドロップしたが、期待通り底付きのないフレッシュパウダー!無いと思っていた雪も、あるところにはあるもんだ。いつも通り撮影しながら滑り、ボトム辺りまで来ると、今滑り降りてきた斜面をあちらこちらからスキーヤーやスノーボーダーが滑り下り始めていた。朝早く来てやっぱり正解!
「俺の読みはいつでもバッチリだろ?」と得意げのマサトに今日はとりあえず感謝。
尾根に戻ってランチにするため、そのまま休憩せずに登り返しの準備をした。半分くらいまで登ったところで、2人のスキーヤーがこちらに向かって滑り降りてきた。見ると、ここでバムしているスェーデン人のヨハンたち。2人ともヨハンという名前なので、ウェアの色にちなんで「ブルーヨハン」と「レッドヨハン」と呼んでいる。ブルーはスキーヤー、レッドはテレマーカー。レッドヨハンはVolklの”Gotama"に乗っており、以前、マサトの"Made'n
AK"と板を交換して滑る約束をしていた。
尾根で一緒にランチを取り、その後レッドヨハンを先頭に正面ボウルのドロップ先までハイクを始めた。このスェーデンチームは、前回のパウダーヒットの時に、朝7時からゲレンデをハイクし"5mile"というコースを3回登り返して滑った、底なし体力の持ち主。ハイクのスピードも早く、あっという間に私だけ引き離されて行く・・・。

もっと手前の低い位置からドロップすると思いきや、一番上の大きな岩まで登ってきてしまった。ハイクで遅れをとった私は滑り出しの時に、マサトに先に行ってくれとトランシーバーで連絡。3人のスキーヤーチームが開けた斜面までトラバースした後に、マサトからこう返事が返ってきた。
「スノーボードはトラバースが危険だから、適当なところで降りた方がいいよ」
この斜面で何度か滑落している私は、その指示を忠実に守ればいいものの、何となく広いバーンで滑りたいという思いが先行して、行けるところまでトラバースをした。やはりスノーボードではスキーヤーと同じトラックを踏んで行くのは難しく、徐々に高度を下げて進んで行った。次第に「ガリっ、ガリっ」とものすごいアイスの上を走る音をたて、いつの間にかエッジが噛まないくらいスーパーアイシーな雪の上を滑っていることに気づいた。ところどころ木があるため、それを避けてトラバースしないといけないのだが、ちょっとでも下に横滑りをしたらそのままザザーっと一気に滑落してしまいそうな感じ。
なんとか木のあるところで、枝に捕まりながら必死に止まった。しかしそこから真っすぐ下に降りたら間違いなく滑落するくらい超スティープな斜面だし、トラバースするのにも間違いなく滑落しそうなツルツルのアイス。
どうにも動けなくなりその場で立往生。マサトたちにはトランシーバーで、降りるのに時間がかかるから先に行ってほしいと伝えた。一度板を脱いでツボ足でちょっと横に登れば、平らなところがありなんとか広い斜面に抜けれそうな感じだった。こんなスティープな斜面で板を脱ぐなんて自殺行為だなぁと思いつつも、他に方法が無いので、必死になって木の枝を掴みながら板を脱いだ。試しに斜面をキックステップしてみるが、カッチンカッチンのアイスで踏み跡を作ることすらできない。
そこで諦めてまた板を装着。滑落のリスクは十分ありながらも、横滑りで少し高度を落として、トラバースするしか方法は無かった。もう怖くて怖くて、棒立ち状態。覚悟を決めて滑り出した途端、雪面を噛んでいたエッジがズルッと抜け、予想していた通り勢いよく滑落し始めた!「もうダメだぁ〜!!(涙)」と思いながら必死に体を止めるものを探した。自分が落ちてく斜面の右手側に小さな木があった。タイミングを合わせてなんとか木の枝を右手で掴み、ようやく滑落が止まった。
もう心臓の音はバクバク。今こうしてこの時の様子を思い出しているだけで、恐ろしくなってしまう。このままこの場所から動きたくないと思ったが、右手の力がだんだん抜けていき、木の枝を掴んでいるのが限界になってきた。深呼吸をし、落ち着いたところで思い切ってトラバースしようと思い、”せーのっ!”で滑り出した。運良くそこは少し雪が溜まっていて、板がずり落ちることもなく、スピードに任せてなんとか広い斜面に抜けることができた。
ほんとにこの時は怖くて、広い斜面に出てきた途端、ふわっと足の力が抜けて座り込んでしまったくらいだ。
もうここに来て、何度滑落したことだろう・・・。その怖さを十分知っていてもそれを回避することができないくらい、ここにはデンジャラスゾーンが沢山。もうしばらくは怖くて正面は滑れないかも・・・。
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