今回はスミちゃんが参加していないので、ハヤシのレポートとなります。
あしからず・・・・
マサトとスミちゃんがいなかった21日、神楽ではあまりの天気の良さ、
そしてフレッシュなパウダーを満喫した人間が各々おたけびをあげていた。
そして満面の笑みで下山し、ポールの店でその日の滑りをビデオで見ながら余韻に浸っていた。
そして夜12時を回った頃、湯沢でマサトとスミちゃんと合流。
ここで僕はマサトに「巻機山に行くのはヤメよう!」と提案。
そう、神楽でおなかいっぱいパウダーをいただいた僕は、今の時間の遅さ、それと下見もしていない巻機に行くのならば、連チャンで神楽に行ったほうがまだ楽しいと思ったからである。
しかしマサト「いや〜ハヤシ君、せっかく今日は巻機って決めたんだから行こうよ!!」と一蹴
・・・・・しょ〜がない、行くか・・・・ってことで巻機に行くことに決定。
ここでスミちゃんと別れて僕らは巻機山の登山口付近まで行き、車の中で就寝。あっという間に深い眠りについてしまった・・・・・
朝、めずらしく寝坊しなかった僕らは用意を済ませ、巻機の登山口に向かった。
そこで最初の事件が起きた!
道路には消雪用に常に水が流されていたが、所々それが凍っていて、黒い光を放っていた。
「足元に気をつけなきゃ」って思ったその時!
「ガシャ〜ん!!」と僕の後ろを歩いていたマサトが地鳴りをあげてすっころんだ。 振り向いて「マサト、大丈夫か?」と言おうとした瞬間・・・・・ビタ〜ン!!
と僕もアスファルトにたたきつけられてしまった。
「今日はイヤな事が起こりそう・・・・」二人とも頭の中でそう思った。
しばらく道路を歩いていくと、ある民宿のところで行き止まりになる。
そこからが登山口となっていて、人やモービルなんかで踏み固められた道を歩き始めた。
時計を見ると8時を回ったところ。
30分位つぼ足で歩いてそこから各々スプリット・テレマークで歩き始める。
色々インターネットで調べると、この山は最初が厳しいと書いてあったが、
まさしく歩き始めて1時間後、僕らの目の前に急な斜面が立ちはだかった。
この斜面がまた曲者で、だいたいはクラストしていた。
それと前日に滑ったトラックが完全に凍っていて、まともにシールが利かない状態である。
ある程度直登していったところで、マサトはトラバースしながら高度を上げていった。 僕のスプリットも直登が厳しくなっていったので、トラバースしようと思ったが、
雪面が固くエッジがまともに食い込まない・・・・
やっぱりスプリットはトラバースが苦手。
「こりゃ〜厳しいな〜」と思いながら登っていくが、だんだんとマサトとの距離が離れていく。「しょ〜がないからもうちょっと直登でがんばってみよう」としばらく直登で登っていっていた時、第2の事件が起きた!
直登もそこそこ調子よくシールの利きも良かったので、「もう少し行けるな!」って
思っていた瞬間、ふんばっていた右の板が後ろに滑り始めた!
「ヤバイ!!」・・・・ポールをガツッと刺し、なんとか耐える。
しかしそれもつかの間、今度は左の板が後ろに滑り始めた。
もう僕の体を支えているのは2本のポールのみ!どうすればいいかわからない状態・・・・。
「とりあえずは、ゆっくり体勢を立て直そう」と体を少し動かしたその時!!!
2本の板が同時に後ろに走り出したのである!!
まるでスキーのジャンプをフェイキーでエントリーしたかのように(笑)。
「ヤバイ〜、とにかく止まれ!」体を雪面に押し付け、2本のポールを根本で持ち雪面に刺す。体勢的には腹ばいで寝っころがってバンザイしながら後ろに滑り落ちていく状態(笑)。
僕の体がどんどん加速をつけて滑り落ちていく。
「これはしばらく止まらないな」思い出が走馬灯のように流れ出した時、
「ドン!!」っと太い木にぶつかり僕の体が止まったのである。
ラッキーだった。
この木にぶつからなかったらまだまだ滑り落ちていただろう。
ふと上を見上げると、大体30mほどの滑落だった。
だけど僕には何百メートルにも感じた距離だった。
木にぶつかって止まったのもラッキーだったが、この状況をマサトがライブで見ていなかったのもスゴくラッキーだった(笑)
これを奴に見られていたらしばらくはバカにされていただろう。
そんな事件もありながら、僕らはちゃくちゃくと登っていった。
ニセ巻機が見えてきたところで、風をかわせるところでランチとする。
この日は風が強く、気温も低かったので体感的にはかなり寒かった。
ニセ巻機を見上げると、カリンカリンのツルンツルンのバーンが僕らを待っている。
「どうーする?マサト」僕がパンをかじりながら問いかけると、マサトは逆立ちをしながら「はっちゃけ〜、はっちゃけ〜」とあばれはっちゃくのマネをしながら考え出した(笑)
マサト「はっちゃけた!!!!」
ハヤシ「何?」
マサト「もう下山して、チアガールと合コンだ!!」
ハヤシ「それは名案!」
ちなみにチアガールとは昨日からポールの店に宿泊しているお客のことだ。
そんな会話をしつつも、もうちょっとだけ行ってみようってことになり、登りだした。
ニセ巻機のふもとにきた時、マサトはもう中腹まで登っていた。
僕はつぼ足で登ろうと、スプリットを組み立てていた。そのときマサトからトランシーバが入ってきた。「ハヤシ君、これ以上はアイゼンがないと駄目だよ」。
そう、僕たちはアイゼンを持っていなかった。
まぁそれ以上登ってもこんなトゥルントゥルンのバーンで楽しい滑りができるわけがない!フィギアスケートで滑ったほうが楽しいくらいのバーンだ。
僕たちは滑るために登るのであって、登山家とは違う。
つねにピークまで登るっていう目標は持っているけれど、今回は断念・・・・
じゃあどこからドロップするか?二人で考えた。
マサトは米子沢方面がいい!といったが、見るからにデンジャラスなバーンになっている。
僕がこっちに行こう!とヌクビ沢を指差した。
百メートル下からドロップしていく二人組みもいる。
マサトもそれに納得し、僕たちは天狗岩のあるヌクビ沢へと向かったのである。
一番手はマサト。
とりあえずは撮影をするということで、適当な場所まで滑り準備をする。
そして僕。滑り始めたとき、ちょっとだけパウダーの感触があった。
「けっこうイイかも?」なーんて思っていてもそう甘くはない。
硬いんだか柔らかいんだか、軽いんだか重いんだか訳のわからない雪質に悪戦苦闘しながらも滑り降りていく。
マサトはもっと悪戦苦闘していた(笑)滑ってはコケ、滑ってはコケ、の繰り返し・・・・
しばらくすると、マサトが振り返り僕に言った・・・・
「ハヤシ君、今日俺がテレマークで来たことに怒ってない?」
確かにゲレンデでは上手い滑りをするが、バックカントリーのフィールドになると調子良く滑れないマサト。
さすがに初めての山で今のテレマークの実力で来たことに少々後悔をしているのか?・・・・・そして僕はこう言った「さすがにテレマークでは無謀じゃないの?」ってね。
でもいい経験になると思うし、最近のマサトのテレマークに対する努力は認めざるを得ない。
スノーボードでは全然余裕でいけるのにね。
しかしこの沢はデカい!!滑っても滑っても沢が終わらない。
加えてロケーションも最高だ!!
天狗岩のふもとまできて、岩を見上げたときは「スゲ〜・・・・」の一言。
「やっぱり来て良かったな」と二人で話しながらブラインドになっていた沢のほうまで滑ると、待っていましたと言わんばかりの光景が目に飛び込んできた。
今まで見たことのないくらいのスケールのデカい「デブリ」だ!
そこからはまともに滑れる状況じゃなく、ゆっくりと、かつ慎重に滑りおりる。
しかし行けども行けどもデブリが終わらない。
まさしく「巻機山、春のデブリ祭り!」といった状況。
一番デカいのは軽自動車くらいはあった。マサトはそれをよじ登りながら進んでいく。
めったに見られない光景だ(笑)
しばらくするとデブリ祭りも終わり、車の所まで戻るべく、緩やかな斜面を滑り降りていった。
しかしたどり着いたところは車から約1kmも下。
なかなかすんなりとは終わらせてはくれない(笑)
二人ともまた板を担いで道路を車のところまで歩いた。
「こんな終わり方もイイんじゃない?」ってかんじな巻機山でした。
やっぱり朝の「二人ズッコケ」で今日の一日が決まっていたのかな?(笑)